八郎潟の桜とゴジラ岩と日本一低い山

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男鹿半島の突端に行きたいと思った。予定のない旅行の気軽さである。東北地方の紹介雑誌を読んでいたら「ゴジラ岩」の紹介があった。うん、これは会っておかねばなるまい、松井秀喜に会うつもりで、と走る。
 
初めての所へ行くのにはカーナビはありがたい。地名がわかっていればなおさらだ。雑誌に出ていた地名を打ち込んでもっと走る。だが、それらしい看板がない。  こういうときは地元の人に聞くのが一番だ。「札幌」ナンバーを見て驚いていたが、次の岬を回るとすぐだ、と言われた。
 
やっと看板があった。砂浜に続く坂道を降りる。だがその先に案内板はない。そこらじゅう岩だらけだ。どうやって探す?。適当に行くしかあるまい。
 
水が溜まってきている岩を超えながら考えた。これから満ち潮になるのだったら、下手すると帰り道がなくなるぞ。潮の流れを観察したら、どうやら引き潮のようだ。大丈夫これならい
い、と渡り始めた。
 
だがそれらしき岩影はない。陽はまだ20分は沈まないだろう。どうも違う方向のようだ、別の方へ行ってみよう。というと目の前に現れた。
やっとお目にかかれた。なるほど火でも吐きそうな影だ。自然の造形力に感心する。
これは確かに話の種になる情景だ。
 
ゴジラ岩を堪能していたらその日の夜を過ごす場所をナビで調べる。幸い1時間も走らないで能代の道の駅に着いた。
 

八郎潟ではキジも散歩する

駐車場が空いているので、遅くまで2人の若者がスケートボードの練習をしていた。何かに打ち込めるということは、反社会的でなければ結構だと思う。もう少し前の私であればそのひたむきな彼らの傍で見学していたかもしれないが、今はそんな気にもならず、眠りに入る。
 
八郎潟と言えば国家プロジェクトで干拓が行われ、日本各地(すなわち、北は北海道から南は沖縄まで)から人々が入植した所である。そこに「桜ロード」があるからということで出かけることにする。
八郎潟に向かう途中に「風の松林」という文字に引かれて寄ってみた。本当に松が全部同じ方向に曲がっている。きっと強風のためだろう。なるほど風の松林だ。
 
そこでもそうだったが、ウオーキングをする人たちの姿がとても多い。いや、もしかしたら札幌にもたくさんいるのかもしれない。ふだん、6時に起きて街中を走ることはないから私が知らないだけかもしれない。
それにしても多いなと思っていたら、「八郎潟調整池」の横を走る直線道路でキジのメスが横断して行った。 彼女も体が重くて飛ぶのが辛いから、ダイエットのために歩いていたのかもしれない。
 

桜並木ではスケールの大きさに圧倒される

翌朝は見事な空であった。桜はやはり青空が似合う。今日もいい姿が見られるぞ、と意気込んで出かけた。  行ってから思わず声を上げた。これはすごい!と。満開ではないが、その桜並木のすごさに驚いたのだ。直線距離で3.6キロにわたり、両側に5メートルおきに並んでいる。つまり100メートルに20本、それが両側にあるから40本。3.6キロだから1400本だが、途中に2重に植えてあるところもあるから1500本はあろう。
 
ところが実は桜並木はこれだけではなかった。さらに400メートル先には10メートルおきに並んでいる。そしてこれは後から気がついたのであるが、その直線道路の後ろ側にはカーブがあって、その先には何と5キロに渡って並木が並んでいたのである。3000本は下るまい。 それにこの天気である。一気に咲く可能性がある。その例が秋田市内の桜だ。前日3~5分咲きが一日で満開になっている。それで一日待つことにした。そこは予定がない気楽さである。「もしもしピット」という路肩のパーキングエリアに止めて半日をそこで過ごした。こんな時、読書ができるという楽しみもある。
 
朝は1分も咲いていなかったのに、午後には1~3分になった。これなら夕方にはかなり開くだろうと、それまでの時間を町まで出かけて入浴と食事で時間を潰すことにした。
この八郎潟町で唯一の豪華な(?)建物のホテルがあった。当日は結婚式が行われているようだったが、私のような「日帰り入浴客」を拒否することもなく入れてくれる。ホテルの8階にある浴場は3方向が見渡せた。眼下に菜の花畑が見える。そこにはミニ蒸気機関車を走らせて「桜祭り」の期間中子供を喜ばせる趣向のようだ。
 

 また職務質問の恐れ?

食事の帰りに役場に寄った。桜に関する資料があればもらいたいということだったが、町の観光パンフレットと秋田全体のロードマップをくれた。ついでに今夜車中泊をしたいが、そんな場所があるかを尋ねたところ「南の池公園」があると教えてくれた。夏場はキャンプ場になる所だという。
 
ついでに「先日職務質問を受けたが、そこはそんなことはないでしょうね」と尋ねたら、私の顔をじっと見た見た女性職員は「さあ」と首をひねった。「そんなことはないでしょう」とでも答えてくれれば合格だが、見た目に正直に答えたのかもしれない。
 
季節はずれのこの時期は私の他に2台の車が駐車しているのには驚いた。
翌朝、同じ並木に出かけたが、花の状況はそう変わってはいなかった。おまけに雨が降りそうな雲行きである。これ以上の変化は望めそうになかったので次を目指す。
 
並木の両側には所々剪定をされた桜の枝で積んであった。切り口を見るとそう古くもないので、秋に切られたばかりなのだろう。ところがその「捨てられた枝」に花をつけていたのだ。並木に立っている木々と同じようにつぼみも付けている。生命力の強さに感動である。このつぼみは、きっと私以外の誰にも見られることなく花を開くのだろう。
 
並木を来た方向とは逆に走ると「日本一低い山 標高0米」という記念碑が目に入った。「大潟富士」と名付けられた「山」である。第1期に入植した時の代表の名前で「私たちの頭の上に海面があることを忘れまい」と記されていた。
 
 
先人の苦労が偲ばれる碑であった。
 
 
 
 
 
 
 
 
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