BJが函館に駐機する理由とは?

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海外の富裕層がよく使用する「ガルフストリームG650ER」。BJは国内で離着陸回数が増えている(丸紅エアロスペース提供)
 
海外の富裕層がよく使用する「ガルフストリームG650ER」
 
がBJ(ビジネスジェット)では国内で離着陸回数が増えています。
(丸紅エアロスペース提供)

海外の富裕層などが所有する観光や商業用の「ビジネスジェット(BJ)」

と呼ばれる小型機の駐機場所として、函館空港(函館市高松町)が

最近注目注目を集めています。

というのも、新千歳空港は混雑や防衛上の理由から駐機が制限され、

いるため、駐機場所に函館空港を選ぶケースがあるからです。

ただ、空港設備や、BJに乗るような「超富裕層」向けの高級宿泊施設

などの受け皿が函館には不足しているという声もあります。

増える発着

国土交通省航空局は函館空港のBJの発着回数を公表してはいませんが、

函館空港ビルデングによると、空港使用料を払う実績は年間50件ほどで、

加えて燃料を給油するだけの駐機利用もあるということです。

担当者は「ロシアの地方空港や中国からのBJが多い。昨年は新規の

航空会社からの問い合わせもあった」と話しています。

同航空局によると、国内全体の発着回数は2018年で1万6830回

と5年前と比べて約1・3倍に増えており、道内や函館空港にも波及して

いるとみられます。

富裕層の狙い

BJの地上支援業務を担うビズジェットエイド(札幌)によると、

函館空港は「ニセコ(後志管内)でスキーをする富裕層の乗客を

新千歳空港で降ろした後、駐機場所を求めて函館空港に降り立つ

ケースが多い」と分析しています。

また新千歳空港は航空自衛隊千歳飛行場が隣接するため、共産圏の中国

などの小型機には防衛上の理由から駐機できる時間に制限があることも

その理由のひとつになっています。

さらに新千歳空港は一般旅客機によって駐機場が常に混雑しているため、

BJが駐機するまで滑走路で長時間待たされる例もあると言います。

一方、函館空港は年間300万人を受け入れられますが、18年の利用

客数は約176万人。函館空港ビルデングの管理者は「新千歳からの駐機

需要を取り込む余地は十分にある」と分析しています。

期待する地元企業

このことについては地元企業も動向に注目しています。

函館市大手町の某飲食店では2年前から、函館空港から新千歳空港などに

向かうBJの乗組員向けケータリングを年間10件弱ほど行っていると言います。

オーナーは「BJが増えてくれれば函館観光も盛り上がる」と期待しています。

ただ、BJ利用客の受け入れ態勢が整っていないのも現状です。

ホテル建設ラッシュが進む函館駅前のホテルは、シティーホテルや

ビジネスホテルが目立つだけです。

一方、ニセコを訪れるBJ利用客は1泊100万円を超えるコンドミニアムに

長期滞在してスキーを楽しむ「超富裕層」もいるのです。

函館市内では、最高級ホテルのスイートルームでも、宿泊料金は1人5万円前後

と相当な開きがあるのが事実です。

急がれる整備

空港の設備にも課題があります。道内の他の空港は、除雪作業や低気温を理由に、

小型機の冬季の駐機に制限を設けているからです。

函館空港は積雪が少ないため冬季の夜間にBJを駐機できる道内で唯一の空港です。

ただ、凍結によるBJのエンジンなどの故障を防ぐ機材が整備されておらず、

「自前の融雪設備を持たないため、冬季に就航できない」(東京のBJ運航会社)

との声も上がっています。

ビズジェットエイドでは

「BJの経済効果は非常に大きい。駐機場所のみならず、超富裕層に函館に

滞在して楽しんでもらえるような施設の充実や積極的なプロモーションが必要では」

と語っています。

(参考:函館空港HP、千歳空港HP、北海道新聞)

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