ナマハゲの危機
秋田・男鹿といえばすぐにナマハゲということばと情景が浮かびます。
鬼の面をつけ出刃包丁とクワンデ(鍬台)を持ち、大晦日に大声で叫びながら家々を回るナマハゲは子どもにとっては本当に恐ろしい「生き物」です。
「泣ぐ子はいねがあ~」という声を聞けば、姿を見なくても 逃げ出したくなる存在だったと
地元の人は語ります。
しかし、そのナマハゲも後継者がいなくて、年々実施する地区が減っています。国の重要無形民族文化財に指定された伝統行事が消えていく危機に貧しています。
そもそもナマハゲの正体とは
1 怠け者を戒める神様が鬼の姿をした使いとか化身という説
2 五社堂(赤神神社五社堂)から降りてきた鬼が999段の石段を作ったが村人の知恵に負けて、姿を見せなくなったので、年に一度鬼の真似をして村中を回り歩くようになった。
3 その時村を救った天邪鬼(あまのじゃく)を祀ったという説
4 本山の修験者達が、修行の辛さの腹いせに村人を脅しに山から降りてきた。
5 船の難破で男鹿に漂着した外国人(スペイン人、ロシア人、中国人)が正体である
という諸説がありますが、どれも定説ではありません。
また同じナマハゲでも集落ごとに面の形や振る舞いが異なります。地区によっては角のないナマハゲもいます。
ナマハゲの現状
ナマハゲがまとっている「ケデ」から落ちた藁(わら)はご利益があるのです。
ケデから落ちた藁は神聖なもので、魔除けになる、縁起が良い、病気をしない、健康になる、としてお守り代わりにされます。
しかし、無理やり引き抜いた藁はご利益が抜けてしまうと言われています。
残念なことに、現代ではナマハゲを家に入れると汚れる、藁を掃除するのが面倒だ、などと嫌う家庭があったりして家の回りだけにする地区も出てきました。
おまけに後継者不足で実施できない地区も出てきたのです。
県や市では奨励金や補助金を出して、何とか伝統行事の復活を望んでいます。
哀しい現実
そこで帰省した若者にナマハゲになってもらった地区で、その「ナマハゲ」が女性の入浴中に押しかけたとか、体に触ったとかいう不祥事が起こり、断念せざるを得なかったという悲しい現実もありました。
今は男鹿市北浦真山字水喰沢に「なまはげ館」で資料や歴史を伝えていますし、ナマハゲを「知る、見る、体感する」ための「男鹿真山伝承館」というもので観光客のために公開されています。
しかし、古来からの伝統行事をこの伝承館だけでしか見ることができなくなる方向にあるというのは何とも寂しい話です。
なまはげ館 〒010-0686 男鹿市北浦馬山水喰沢 電話 0185-22-5050
(参考:男鹿市教育委員会・男鹿のナマハゲ、ナマハゲ館HP)